我が家には現在保護した猫が10頭います。
最初に保護したルナ、その次に保護したアルテミス、クロ&シロ、ミケ、ユノは全員猫エイズ・白血病陰性でしたが、その後保護した茶々だけが猫エイズ陽性でした。
猫エイズとは何なのかというお話と、ノンキャリアの先住猫とどんな風に過ごしているのかをお伝えします。
猫エイズとは?
猫エイズとは正式名称ではなく、猫免疫不全ウイルスが原因で起こる症状を通称「猫エイズ」と呼びます。FIVというウイルスにより、猫が免疫不全になってしまう感染症です。
現在完全にこの猫エイズを治療する方法はなく、一度ウイルスが身体に入ってしまうと一生この病気と共に過ごしていかなければなりません。
感染経路は?
- 感染している猫に噛まれれる
- 感染している猫との交尾
- 母親からの影響
この3つが主な感染経路と言われています。
猫エイズ陽性のキャリア猫との喧嘩で、キャリア猫の唾液中に含まれるウイルスが猫エイズでない子の傷口から侵入し感染します。
その他、交尾による異性間の感染・母猫から子猫へ胎盤やお乳を通じた母子感染があります。
ただ母子感染は100%ではなく、中には猫エイズでない子が生まれる場合があるようです。
症状は?
猫エイズには
- 急性期
- 無症候キャリア期
- 持続性リンパ節腫大期
- エイズ関連症候群期
- 後天性免疫不全症候群期
という5つのステージがあります。
ステージ | 症状 | 期間 |
急性期 | 発熱、リンパ節の腫れ、食欲減退など。 | 感染数週間~4ヶ月 |
無症候性キャリア期 | 潜伏期間で表立った症状はない。 | 数ヶ月~10年以上 |
持続性リンパ節腫大期 | ウイルスの増殖を止められなくなり、全身のリンパが腫れる。 | ~数ヶ月 |
エイズ関連症候群期 | 口内炎や風邪症状、呼吸器・消化器疾患、慢性的な下痢、皮膚病、など。 | ~数ヶ月 |
後天性免疫不全症候群期 | 体重減少や食欲低下、貧血、悪性腫瘍の発生、日和見感染など。 | 数ヶ月 |
後天性免疫不全症候群期までステージが進行してしまうと全身の機能が低下してしまい、死に至ります。
人間にも移る?
猫エイズは猫科以外は移らないウイルスになっているので、人間には移りません。
ちなみに犬にも移ることはありません。
寿命は?
もちろん個体差はありますが、無症状キャリア期の期間は通常4~5年、長ければ10年程度症状が出ないこともあるようです。
(参考:猫ねこ部)
無症状キャリア期のまま寿命を全うする子も多いようです。
茶々を保護した経緯
先住猫同様、茶々もオットの職場に住み着いている野良猫でした。
触らせてはくれないけれどある程度人間に馴れてきたし保護しようとオットが言っていたのですが、隔離部屋がユノとミケで満員御礼でケージを新たに入れるスペースがなく、先延ばしになっていました。
(我が家では保護すると隔離部屋でケージ生活。その後ある程度人馴れしないとフリーになれないシステムを導入しています)
しかしそれからしばらくして、怪我をしている猫がいるとオットが職場の人から聞かされました。
わかりにくいですが、左足がダランと麻痺したようになっています。
何かあった時にと車に捕獲器を積んでいたオットは、かつおぶしのおやつを捕獲器の中に入れて急いで茶々を捕獲。わたしには「怪我した猫、保護したから」と相変わらずの事後報告。
仕事終わりのオットと一緒に病院へ行ったのでした。
レントゲンを撮った結果、足は折れているわけではなく怪我をして痛いからこの状態になってしまっているとのこと。怪我が治れば普通に歩けると言われ、正直「足を切断とか言われたらどうしよう……」と思っていたわたしたち夫婦は胸を撫で下ろしました。
ただそこで突きつけられたのが【猫エイズ陽性】でした。
猫エイズ陽性だとわかってから
茶々は一旦怪我が治るまで安静にしてもらわないといけないので、犬用のトイレと寝床が別になっている横広のケージを準備しました。
保護した当日の「野良猫」の目をした茶々。
威嚇や猫パンチはないものの、とにかくビクビクしてずっとトイレにいる状態。
(ご飯は保護した当日から完食してました。すごい)
足が治ってくる頃には撫でるとゴロゴロ喉を鳴らしてくれるほど人馴れしてくれました。
先住猫と隔離
今までプラダンで作っていた隔離部屋を木枠とワイヤーネットで強化させました。
今まではプラダンでお互いの顔が見えませんでしたが、ワイヤーネットにしたことでお互いを認識することが出来ました。
先住猫にもワンたちにも威嚇することなく、安心。
どうもアルテミスが好きなようで、アルテミスが近くに来るとネットにスリスリ。
遊びたそうに「ア、ア……」と鳴くこともありました(茶々は「ニャー」と鳴きません)。
これを見ていると可哀想に思えてくるのですが、この時は隔離を徹底しました。
引っ越し後
2Kマンションから4DKの戸建てに引っ越しをし、2階の寝室の隣の部屋を茶々の部屋にしました。
本当は1階に部屋を作りたかったのですが、スペースがなく……
茶々の部屋の扉は引き戸なので、片側は半分開けてワイヤーネットで出られないようにしています。
半分以上は開かないように防犯ロックで扉を固定。
先住猫たちは昼間は寝室の布団で寝ているため、みんなの姿は見える状態です。
最初は馴れずに部屋の隅や物陰に隠れていた茶々ですが、馴れてからはのびのび。
わたしは1階リビングで仕事をしているので、朝~夕方ぐらいまではあまり茶々の様子を見に行けず、時々2階から「オマエ~」と鳴く声が聞こえます(さっきも書きましたが茶々は「ニャー」と鳴きません。寂しいときはなぜか「オマエ~(本当にそう聞こえる)」と鳴きます)
あまりストレスを与えたくないので、離席できるときは仕事中でも茶々の部屋へ行き少し構ってあげています。
そして寝る時はわたしは茶々の部屋で茶々と一緒に、オットは隣の部屋で3ワン&ルナ・アルテミス・ハルと寝ています。
他の子たちはリビングで寝たりオットの布団に潜り込んだりマチマチ。
先住猫との接触は相性次第
我が家で唯一茶々に攻撃を仕掛けるのはアキです。
と言ってもそんな本気で喧嘩をしに行くわけではなく、小さくシャーシャー言いながらお尻を軽くペシペシ叩くぐらい。そして茶々は全く気にしていません。
男の子同士ということもあり、アルテミスとクロとの相性が心配だったのですが、有り難いことにクロは他の子と本気で喧嘩したりしない子で、アルテミスも茶々とじゃれ合いたい様子でした。
わたしが茶々の部屋に入ると自分もするりと部屋に侵入し、お昼とかだと勝手に茶々のベッドを使って日向ぼっこをしています。
茶々の食器とトイレには一切近付けさせず、わたしがいる時に数分だけ交流の時間を設けるようにしています。
食器の共有で感染することはほとんどないと言われていますが、絶対にないわけではいので……。
アルテミスが部屋に入ると茶々は嬉しそうにすり寄って行きますし、アルテミスもお腹を見せて遊ぼうぜと言わんばかりの仕草を見せてくれます。
これはフジ家の先住猫と茶々の性格によるもので、みんながみんな同じように出来るわけではありませんので注意してください。
本来ならば一切接触させないのがノンキャリアの子にとっては一番いいことです。
ただ我が家は茶々のストレスも極力控えなければいけないということでこの形を取っています。
ワクチンという選択肢も
どうしても隔離出来ない、先住猫と同じ部屋で過ごさなければならない場合、ノンキャリアの子に猫エイズのワクチンを接種するという手もあります。
ただわたしが獣医さんから言われたのが
- ワクチンは100%ではないので、感染する可能性もある
- 副作用が出てしまう場合がある
- 検査キットでの検査が出来なくなり感染しているかどうかがわからなくなる
(結果が全て陽性になってしまう)
この3点でした。
もしそれでもいいなら取り寄せして接種するのでまた連絡してほしいと。
必ずしも接種しなければいけないわけでもないですし、接種してはいけないわけでもありません。
我が家は接種を見送りましたが、ご家庭の環境に合わせて獣医さんに相談してみてください。
まとめ
猫エイズキャリアだからと言って決して短命だとも限りませんし、ノンキャリアの子と同じように可愛いです。発症さえしなければノンキャリアの子と同じように元気いっぱいです。
わたし自身茶々を迎えるまで「エイズ=とにかく怖い。すぐに死んでしまう病気」だと思っていました。
ですが色々調べていくうちに、ストレスがかからないよう環境・生活を整えてあげていれば発症しないまま寿命を全うしてくれるかもしれない可能性があることがわかりました。
どうか保護猫を家族に迎えたいと考えている方はエイズキャリアの子にも目を向けてあげてください。
少しでもりんご猫ちゃんの譲渡率が上がりますように。
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